3Dプリンターによる物づくりの実際

デジタル屏風では音楽に光が連動する光音共演コンピュータを開発しています。現在新製品を開発するべく3Dプリンターを使ってスピーカー等を格納する筐体などを作っているのでその経験について発信します。

デジタル屏風ではFlushForgeのFinderという3Dプリンター(約5万円で購入)を使用しています。

今回の記事の内容は以下です。

①3Dプリント用ソフトウェアflushPrintをバージョンアップしたら動かなくなった場合の回避策
②3Dプリント用材料フィラメントの選定(材質および長さ)
③こまめな水平出しの効果
④3Dプリント印刷精度の指定

 

①3D印刷用ソフトウェアFlushPrintをバージョンアップしたら動かなくなった場合の回避策

デジタル屏風では3Dプリント用ソフトウェアFlushPrintをWindows10上で使用していますが、FlushPrintの最新バージョン4.1.0にバージョンアップしたところ、エラーメッセージを表示せず突然異常終了するトラブルが頻発し、3Dプリントが実行できないというトラブルが発生しました。結果的にはFlushPrintの動作するPCを若干新しいPCに置き換えたところ正常動作しました。HWに関連した問題でしょうか。詳しい原因は究明していませんが比較的新しいPCで正常に動作しています。また問い合わせたappleTree社さんの話では3Dデザインの内容に問題があるときに当該事象になるとの回答を得ています。

②3Dプリント用材料フィラメントの選定(材質および長さ)

デジタル屏風ではPLAという材質のフィラメントを使用しています。3Dプリント用としてはABSという材質もメジャーです。PLAは融点が200℃、ABSは220℃という説明がありました。融点が低い分PLAの場合、融解したあと固まるまでの間に変形がしにくいこと、また材質がより固いことが紹介されていました。FlushForge社の情報では、射出ノズルの温度を調整することにどちらにでも対応できるということです。デジタル屏風の申請品では強度が重要となるので、従前通りPLAを使うことにしました。また販売されているフィラメントの長さも重要です。なぜなら印刷途中でフィラメントがなくなってしまうと必ずといっても目詰まりを起こしてしまい、推進力がなくなった最後のフィラメント一片をねじを外して除かなければならないからです。そのフィラメントの最後の一片を除くときもノズルを熱しながら、押したり引いたりコツがあるのです。

(ノズル付近の機材のねじを外して最後のフィラメントを除くときの様子)

フィラメント切れを防止するために、1リールのフィラメントは使い切りできません。1リールで何回プリントできるのか、それを決めるのは1リールに巻かれているフィラメントの長さです。そのためできるだけ長いフィラメントを選んで購入することが重要になります。

③再度の水平出しの効果

水平出しとは3Dプリントする物体を載せるプレートを厳密に水平にすることです。3Dプリンタにこの機能があり、製品導入時には必ず行います。しかし使っていくうちに3Dプリントの一部がプレートからはがれやすくなってしまう事象が発生しました。プレートに汚れがあるのか、それとも材質が劣化しているのか、疑問に思っていましたが、プレートが水平になっていないのではとの仮説を思いつきました。

案の定水平出しを行ってみるとはがれやすい部分が他の部分よりもノズルから遠くなっていました。この調整を行ったところプレートからはがれる事象がなくなりました。こまめに水平出しを行う必要性を認識しました。

④3Dプリントの印刷精度の指定

従前は印刷精度を「中」に設定していました。しかし仕上がりがやや雑であることで「高」に変更しました。すると3Dプリンターの成果は各段に良くなりました。印刷時間は、「中」の場合が約5時間、「高」の場合は約9時間。今回の製品は高い精度が要求されるので、「高」で印刷することに決めました。

 

 

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