ノイズキャンセラ―の仕組み(書籍「電気音響」から)
デジタル屏風では、音の周波数に応じて音量を調整する音質調整スピーカーを開発しています。
最近ノイズキャンセル機能付きヘッドフォンという商品を目にします。そこでノイズキャンセル機能について文献「電気音響」(コロナ社)等を参考にして調べてみました。
■ノイズキャンセルヘッドフォンとは
上記文献では、「航空機内、列車内など大きな騒音のある場所でも音楽を楽しみたいというニーズに応える」ために、「外部から郎入する騒音と同振幅かつ逆位相の音を耳孔内に出して騒音を相殺するもの」と記されています。
音は波なので、その位相を反転させ、二つを足し合わせれば全体として平坦になるというアイディアです。位相を反転させるデバイスとしてはデジタル演算を行う装置とアナログ回路のプリセット方式があるとのこと。
ヘッドフォンで耳がふさがれているので、騒音と騒音の位相を反転させた音がヘッドセットを通して知覚されるというものです。ヘッドフォンを通して騒音がどれだけ知覚されるかその音量と位相を反転させた音の音量が一致しないと効果が発揮されないように思います。ヘッドフォンを通して聞こえる騒音の音量より、騒音を相殺させるために位相を反転させた音の方が大きくなってしまうと逆に騒音が発生してしまうのではないかと想像されます。
雑音を相殺する仕組みは、オーディオ信号の有無にかかわらず稼働できるでしょうから、音楽を楽しむ目的だけではなく、騒音をキャンセルしたい場合にも有効になると思います。
上記文献にはノイズキャンセルヘッドフォンの特性の例が書かれています。製品によりノイズキャンセル機能の機能性はまちまちでしょうが、文献に書かれた特性の例を見ると、耳孔内音圧レベルが「ヘッドフォンなし」「ヘッドフォン装着かつノイズキャンセルOFF」「ノイズキャンセルON」の3つの状態についてグラフが描かれています。「ヘッドフォン装着かつノイズキャンセルOFF」の状態でも、音圧の低減効果はありますが、「ノイズキャンセルON」によりその効果をさらに大きくする様子が描かれています。「ノイズキャンセルON」の音圧レベル低減の効果はその周波数により変わるようです。上記文献では「騒音の種類や大きさにより騒音抑圧効果が変化するなど微妙な設計を要する技術」として言及されています。製品を評価するときにはこの点について注意が必要です。