PICマイコンで暗いときだけマイクの電源をONにする

デジタル屏風では、夜間屋外で騒音を検知し、LEDを光らせる騒音警報看板を試作しています。屋外で電池起動のため、できるだけ電力を消費しない仕組みが必要です。昼間は動作せず、夜間のみで動作するようにフォトトランジスタ、小型マイクロフォンをPICマイコンで制御します。PICマイコンはアナログコンパレータの機能が充実しているPIC16F1778を利用しています。

◆コンデンサマイクの電源を暗い時だけONにするには

PICマイコンを使って省電力の仕組みを実装するには、ウォッチドックタイマーを使う方法など色々な方法が「逆引きPIC電子工作やりたいこと事典」(後閑哲也著)に紹介されています。今回はフォトトランジスタが一定の暗さと判断したときのみ小型コンデンサマイクの電源をONにすることを考えます。最初に案として考えたのは、フォトトランジスタが一定の暗さに達したと判断したときのみ、PICのI/OピンでHIGHを出力し、その電圧で小型コンデンサマイクを起動するという方式でした。以下に回路図を示します。CMP1はPICマイコン内のアナログコンパレータです。

しかしこの方式はうまく動きませんでした(ちなみにフォトトランジスタはこの方式でうまく動きました)。コンパレータCMP1が常にHighを判断してしまいました。電源は4.5Vの乾電池を使っていますが、PICマイコンで出力される電圧が4.5V-0.7V=3.8Vとなるので、使用している小型マイク(OPA344使用高感度マイクアンプキット、写真下)の電圧に合致しなかったのが原因と考えています。本小型マイクの動作は2.5V~5Vと記載されており、3.8Vは動作電圧の範囲内ですが、データシートには電源電圧が低いと入力電圧によっては出力波形がクリップします(ひずみます)ので、なるべく5Vで使用ください、と記載されています。

PICマイコンのI/Oピンの出力電圧については、「電子工作のためのPIC16F1活用ガイドブック」(後閑哲也著)に記述されています(著書の中ではhighの最小値が「VDD-0/7V」と書かれていますが、0/7は0.7の誤植と考え修正しています)。

◆MOSFETを使って暗い時だけ4.5Vの電力を供給する

PICマイコンが制御するフォトトランジスタが暗いと判断したときのみ4.5Vの電圧を提供する方式としてMOSFETを使う方式を考え、動作確認しました。回路図は以下のようです。

MOSFETのアナログコンパレータは比較結果を指定したピンに出力します。PICマイコンプログラム内でアナログコンパレータの結果を検知するには、MCC(MPLAB Code Configurator)により以下のようなルーチンが用意されており、プログラム内で簡単に判断することができます。

◆暗い時だけコンデンサマイクの電源が入るようにする動作確認

MOS FETでgateに電圧がかかった場合、4.5Vの電圧を小型コンデンサマイクに提供する回路を作って検証しました。フォトトランジスタを指で覆い暗くした状態で、小型コンデンサマイクに向かって声を発するとLEDx10が光りました。フォトトランジスタから指を離すと声を出してもLEDは光りませんでした。

◆課題

実際にやってみて難しいと思ったのは、アナログコンパレータのプラス側の10KΩの可変抵抗の調整です。今回はフォトトランジスタの出力と、マイク出力の2つについてアナログコンパレータの可変抵抗を実装していますが、それらの微妙な調整を行わないと、暗いときのみ、音を検知したときのみ反応するといった機能性が実現できないということです。この点については今後の課題とします。

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