音の大きさを測る(PICマイコンとMEMSデジタルマイクロフォンの利用)
デジタル屏風では、センサーとアクチュエータをコンピュータで制御する製品を開発しています。現在屋外で騒音が発生したときにLEDを光らせる騒音警報看板の開発をしています。騒音警報看板は屋外で乾電池で動作するので、電力を少量消費するPICマイコンを使います。
「逆引きPIC電子工作やりたいこと事典」(後閑哲也著)では、「音の大きさを測りたい」という節で、A/Dコンバータを内蔵してPCMのデジタル出力ができるMEMSデジタルマイクロフォン(SPM0405HD4H)が紹介されています。外部でマイクの微小な電圧を増幅する必要がないとされています。このMEMSデジタルマイクロフォンSPM0405HD4H(秋月電子通商で300円/個)を使ってみることにしました。サイズは下の写真で示すようにごく小さいです。
◆マイクの種類
利用に際してマイクロフォンの種類について調べてみました。「音響学入門」(鈴木陽一他著)では、以下のように種類が記されています。
①ダイナミックマイクロフォン
振動板の振動により電磁誘導を発生させ、電気信号に変換する。
②コンデンサマイクロフォン
振動板と金属板でコンデンサを構成し、振動を正殿容量の変化として電気信号に変換する。
③圧電マイクロフォン
圧電素子を用いて、振動を圧電効果により電気信号に変換する。
④光マイクロフォン
振動板の変異で光の大きさや移送を変化させ、これを電気信号に変換する。
今回利用するMEMSデジタルマイクロフォンは、②コンデンサマイクロフォンの一つであり、「MEMS(micro electro mechanical systems)技術を利用した(中略)エレクトロレットコンデンサマイクロフォンの超小型マイクロフォン」(「音響学入門」からの引用)です。「マイクロフォン本体をきわめて小さく作ることができ、携帯電話などに広く用いられている」(「音響学入門」からの引用)。
◆MEMSデジタルマイクロフォン選定理由
MEMSデジタルマイクロフォンを選定する過程で、別の小型コンデンサマイクにも注目しました。高感度コンデンサマイク、高性能オペアンプを使用したキット(秋月電子通商で500円/個)です。アンプ増幅率100倍。
大きさはMEMSデジタルマイクロフォン(右側)よりも大きいです。
今回の騒音警報看板は、騒音が大きいときにLEDを光らせる必要があるので、PICと連携する必要があり、PICのオペアンプ機能を使えばオペアンプの機能を代替できるのではないか、マイクから収集した音データはすぐにデジタルに変換されるので、雑音が少ないのではないか、と考えました。
◆MEMSデジタルマイクロフォンのクロック供給
MEMSデジタルマイクロフォンSPM0405HD4Hのデータシートを見ると、CLK端子に出力データの基準となるクロックの供給が必要なことが記されています。クロックの範囲は1.0から3.25MHzです。このクロックはPICから供給できると考えています。PICについては次の記事で記載したいと思います。
◆マイクの指向性について
マイクには音を拾う方向について指向特性として表されています。全方向に一様な感度を持つ無指向性、マイク前方にだけ感度を持つ単一指向性などです。録音するときには重要なポイントです。MEMSデジタルマイクロフォンのデータシートでは、マイクの指向性について記載がありませんでした。スマフォで使われていることを考えると指向性としては無指向性なのではと推察しています。
◆ステレオ、モノラル録音対応
MEMSデジタルマイクロフォンSPM0405HD4Hのデータシートを見ると、二つのマイクを同じデータ線で扱う(ステレオ)ことができるようです。2つのマイクでL/Rピンの接続をVDD,GNDと区別することによってステレオ録音ができるようです。