音楽をヘッドフォンで聞くかフルレンジスピーカーを使うか
デジタル屏風では、周波数領域ごとの音量の調整が可能な音質調整スピーカーを開発しています。
音楽を楽しむときに、周囲に人がいたりあるいは周囲の音を遮りたい場合などに低価格の密閉型ヘッドフォンを使用しています。
「音響学入門」(コロナ社)では、密閉型ヘッドフォンについて、「音がこもり、くぐもったような音質になるものもある」と言及されています。筆者の経験でも同じ印象があり、かつシャカシャカしたおとの印象もあります。
ヘッドフォンを利用した場合、耳を圧迫されるのでそのこと自体が聴力に悪影響を及ぼすのではないかと懸念していました。「耳鼻咽喉科疾患ビジュアルブック」(学研)では、音響外傷の説明の中に「ヘッドフォンによる大音量・長時間の音楽鑑賞が原因となる例も多く」との記述があり、ヘッドフォンによる固有の悪影響があるのではないか、疑っていたのです。
しかし「よくわかる補聴器選び」(八重洲出版)で関谷芳正先生が言及しているようにヘッドフォン利用自体には問題はなく、大きな音を聞くこと自体が聴力に悪影響を及ぼすという結論に至りました。
私は、ヘッドフォンとスピーカーそれぞれを耳から1メートル離したときに、出力される音量が異なることから、ヘッドフォンを使った場合に、音量をどのように数値化するのかが疑問でした。文献「電気音響」(コロナ社)に主流となっているラウドネス測定方法が記載されていました。
下の図は「電気音響」からのラウドネス計測に関する引用ですが、ヘッドフォンと付けた時とスピーカーから音を聞くときとで同じラウドネスが識別されたときに、マイクロフォンで音圧を測定するというものです。ヘッドフォンの音量がスピーカーと同じという評価はあくまでも人間が行っているのです。
人間の聴覚で音圧を測定しているという観点から、ヘッドフォンからの音が耳に対するダメージが大きいという話はないと考えました。思ったのはヘッドフォンを付けていなくても、地下鉄に長時間乗ること自体で耳にダメージを与えるのではないかと思いました。
スピーカーとヘッドフォンを比較するときに、スピーカーを使った場合には室内の音の反射があるということも重要です。「音響学入門」(コロナ社)では、室内の音の反射について以下のようなイメージが描かれています。壁だけではなく、床や天井などの反射が音に影響を及ぼしています。
またステレオを聞くときには、右スピーカーからの音も右耳だけではなく、左耳でも音を近くする点も重要なポイントと思います。以下の図は「音響学入門」から引用した図です。
結論としては、ヘッドフォンに利用は聴力に悪影響がないことがわかったが、周波数帯域の広いスピーカーを使って室内の反響を使って音楽を楽しむのが良いということになります。