スピーカーから発する音の方向性について
デジタル屏風では音楽に光が連動する光音競演コンピュータの開発をおこなっています。人々の困り事を解決する新しい製品を開発するために加齢による難聴やスピーカーやヘッドセットなどの調査を行っています。
先日筆者はあるロックコンサートに行きました。ステージ前方のスピーカー近くに陣取り、音が非常に大きかったため、右耳が高所登山したときのように圧迫を感じて、翌日まで直りませんでした。一時は「突発性難聴」になってしまったのでは、と懸念しました。耳鼻咽喉関係の書籍を見ると、ロックコンサートに行ったあとに「突発性難聴」になる事例が多いらしく、早めに医師に診断してもらう必要があると記されています。治療法としてはステロイドを注射するなどです。治療が遅れるとなかなか直らないとのことです。
上記文献によると「突発性難聴」の患者さんの自覚症状は、「耳が聞こえなくなった」ということです。筆者のように右耳だけおかしくなる場合は、左耳は正常のため聞こえているのか聞こえていないのかよくわからないとの実感です。仮に両耳が異常になったとしても骨伝導で音がそれなりに聞こえるでしょうから「耳が聞こえなくなった」と判断するのは正確には難しいのかも知れません。まずはロックコンサートではスピーカー近くに陣取らないというのが教訓です。下記はWHOが定める音の大きさと聞いていても安全な時間の関係です。
今回のロックコンサートでの経験で、気になったのはスピーカーの発する音と耳が知覚する音の方向性です。
コンサート会場では、右左の両方にスピーカーがあり、同じ音量で同じ楽曲を流していました。しかし右耳だけ異常になるということは、右方向から来た音は右耳にかかる負担が大きいが、左耳にはそれほど負担にならないと考えます。
同じ音量で同じ楽曲を左右の両スピーカーから発していたとしても、会場の中央であれば左右両方の耳に負担がかからないのではないか、という推察です。しかもステージ上の歌手は大音量を発していても全く気になっていません。スピーカーの向きが客に向いているからです。スピーカーの向きおよび音量が会場の後ろの方を重視して設定されていると推察します。
スピーカーの位置については「スピーカーとエンクロージャ大全」(佐伯多門著)に詳しく述べられています。2スピーカーの場合、水平的な位置は2つのスピーカーと視聴者の位置関係は正三角形にするのが良いということです。垂直的な位置は視聴者の耳の位置に合わせるというものです。これはなるほどと思いました。ステレオサウンドを聞く場合も左右のスピーカーの距離が近すぎて臨場感が出せていないケースが多いのではないでしょうか。
このため2つのスピーカーと視聴者との位置関係を正三角形にするために、容易にスピーカーの位置を変更できる工夫を考えています。