■光音共演コンピュータのワイヤレス(無線)化
音楽に光が連動する光音共演コンピュータは、フーリエ変換を使って音の波長を解析するPCと音階に応じた光を照らす手のひらサイズコンピュータArduinoがUSBケーブルで接続されています。USBケーブルによる通信で、高速で信頼性のあるシリアル通信が実装できましたが、反面ハイパワーLEDの物理的配置の制約がありました。ハイパワーLEDをどこにでも配置でき、魔法の水晶球のイメージを実現したいと思っていました。
ハイパワーLEDの物理的配置の制約を解決するため、PCとハイパワーLEDの間をワイヤレス(無線)で通信できるようにしました。無線モジュールとして著名なZigBEE(Digi International社製)を使いました。無線システムの構成は以下のようになります。
■無線モジュールZigBeeについて
ZigBEEは切手サイズの通信モジュールです。無線通信を行うために、ローカル側とリモート側に2つのZigBEEモジュールが必要となります。開発においては「超お手軽 無線モジュールXBee」(濱原和明、佐藤尚一ほか著)と「たのしくできるArduino電子工作」(牧野浩二著)を参考にしました。ZigBEEの通信モジュールの使い方については、前者の書籍が有効です。Arduinoとの連携については後者が有益です。ただし書籍の内容が若干古く、現時点(2019年1月)秋月電子で入手できるZigBEEモジュール(S2C)と設定方法(Modem Configurationなど)が異なっているのは注意が必要です。S2Cのユーザマニュアルについてはこちらを参照しました。
■ZigBEEの通信モードの設定について
ZigBEEにはCoordinator、Router、EndDeviceの役割分担がありますが、光音共演コンピュータにおいては、動作中はひっきりなしに通信しているので、CoordinatorとRouterで構成しました。また通信モードとして、TransparentモードとAPIモード(エンベロープにメッセージを格納する)があります。光音共演コンピュータではシンプルなTransparentモードを使いました。APIモードを使えば、1対多の通信が可能なのですが、リアルタイムのシリアル通信が目的のため、Transparentモードを選定しました。
■リモートサイトの電源供給について
リモートのArduinoおよびZigBEEの必要動作電力は、9Vの積層電池を使用しました。USBケーブルで接続した場合とまったく同じような明るさで光ることが確認できました。
■魔法の水晶球のような光を放つ様子
ハイパワーLEDのかさとして直径18cmのプラスチックの球を光音共演コンピュータに被せてみました。
すると魔法の水晶球のように、音楽にあわせて光を放つのが確認できました。無線で通信しているので、手のひらに乗せたり、持ちながら歩いたりということができるのです。