音声合成LSIとアンプキットの組み合わせ利用経験

デジタル屏風では音の周波数領域ごとに音量を調整できる音質調整スピーカーを開発しています。

現在屋外で利用できる監視警報装置を試作中です。試作では、音声による警報を発するように音声合成LSI(AQUEST社ATP3012、秋月電子で900円で購入)を使っています。小型アンプを使って大きな音が出せるようにしました。実際に音声のアンプ出力ができるまで数日かかりました。実現するまでの苦労を以下に記述します。

◆音声合成LSIの音声を出力するアンプの選定

音声合成LSI ATP3012のデータシートには、音をスピーカーで出力するためのオーディオ回路がいくつか示されています。最も簡単なものは簡易版D級アンプとして、ATP3012の音声をトランジスタを使ってスピーカー出力するものです。これは音が小さく、屋外での利用を考えると利用に適しません。またAVアンプやアクティブスピーカーに接続する回路も示されていますが、世の中の多くのAVアンプやアクティブスピーカーは屋内での利用を想定しており、電源供給の課題があります。電池で起動できるような、省電力小型アンプをターゲットとして考えました。

このような用途を目的として、データシート中に参考回路のURLが紹介されており、そのURLを参照すると、最もお勧めのものはTexas InstrumentsのLM48310を使ったD級アンプ回路です。しかしLM48310の小口購入の方法が見当たらなかったので、「D級アンプその2」で紹介されているTPA2006D1(Texas Instruments製)を選定しました。秋月電子通商でTPA2006を使ったアンプキットが1個300円で販売されています。ちなみに「D級アンプ」とはPWMで駆動し、電力効率のよいスピーカー方式であり、内蔵型スピーカーの大多数で採用されている方式です。

 

ATP3012のデータシートでは、TPA2006を使ったアンプ回路として以下のように紹介されています。

当該URLで紹介されている回路はATP3012の前身であるATP3011を中心に書かれています。AOUTからTPA2006に至るLPF(ローパスフィルタ)の部分は、ATP3012とATP3011で差異があり、当該URLの最後に説明されているので注意が必要です。

◆TPA2006アンプキット

TPA2006アンプキットは以下の写真のようにごく小さい部品です。電源電圧は2.5Vから5.5V。出力は最大1.45W(VDD5V、スピーカーインピーダンス8Ω時)です。ATPの参考回路URLにも書かれていますが、スピーカーのインピーダンスが4Ωの場合、電源電圧は最大4.2Vである点に注意が必要です。

この中には、以下のような回路が実装されています。アンプキット内のIN(図中の①と②)にコンデンサ(6800p)と100KΩの抵抗がすでに実装されており、これらを利用することができます。ATPのURLで当該回路を見るとコンデンサの部分が0.01μFとなっており、アンプキットでその役割を果たすコンデンサの680pFと少し異なるので、うまく動くのか不安でしたが、結果的には影響ありませんでした。図中の③では、当該アンプのスイッチを指定したときだけONにするシャットダウン入力(/SD)で、常にONにする場合には、③の部分をハンダ付けすればよいものです。

入力の方式はシングルエンド入力と差動入力の2つがあり、接続の方法が異なります。今回はシングルエンド入力です。

◆テスト方法

今回の試作では、音声合成LSI、アンプ、PICマイコンの3つが主要コンポーネントです。最初から3つ組み合わせた状態での動作確認は大変なので、これらをできるだけ細かい単位でテストする方法を考えました。

●アンプ単体テスト方法

TPA2006アンプキットは音声合成LSI用途のみではなく、汎用的なアンプです。従ってまずは、ラジカセから音データを取り込み、それをアンプに接続したスピーカーから出力できるかどうかを確認しました。ラジカセからの音入力はステレオミニプラグを使いました。

TPA2006アンプキットのシングルエンド入力が正しく動作することが確認できました。

●アンプ+音声合成LSIテスト方法

音声合成LSI ATP3012にはデモモードがあり、ATP3012の端子の接続状態に応じて予め用意されている音声を繰り返し出力することができます。この音声を確認すればPICマイコンとの接続なしでATP3012とアンプとの接続テストができます。今回はデモモードを使って評価を行いました。

またATP3012のshutdown端子は、常にhigh(5Vの電位)とし、音が正常に出力できるかどうかのテストに集中しました。

この段階で色々な問題が発生しました。一つはATP3012をはめ込むICソケットが、ブレッドボードにしっかりささらず安定しなかったことです。結局ICソケットは使わずATP3012を直接ブレッドボードに差し込みました。ATP3012を直接ブレッドボードに差し込む場合、ピンが比較的やわらかいので、曲がってしまうことが多く、十分な注意が必要です。

電池のパワーが少なくなって動作しなくなったという現象も発生しました。テストしているうちに電力を消耗したものと思われます。電池もそうですが、音声合成LSIやアンプキットなどは複数用意しておき、問題が発生したときに交換してみるというのは重要な事項だと認識しています。

 

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